質の高い訓練をするのはもちろんそうですが。良い刀を使えば良いというわけではなく、良い体を作れば良いというわけでもなく、良い心を作れば良いというわけでもなく、まさに、心技体の全てが揃っていなければ日本刀を使うことは難しいといえますし、古今を問わず、変わっていない普遍の真理であると言えるでしょう。かつて武士たちは、母親や父親、近くに住んでいる人など、自分の身の回りにいる人から武士道を学びましたか、現代ではそうはいきません。武士たちは小さい頃から自分自身の武士道としての価値観を育て、強く持つように促され、それを実践することで自分の中に染み込ませてきたわけですが、革命的な技術革新が続いて価値観が大きくかわりつつある現在では、そのような過程をたどることは難しいと言えますし、刀を持つことがそもそも容易ではなく、あまり現実的ではないという言説すらあります。しかし、現在では、書店に行けば武士道の事について解説した本に、居合道について解説した本など、とにかく無数に出ており、それらを数冊読むだけでも大枠は理解できると考えられますし、そのような背景を理解した後にした方が効率や理解度は高まるということは言うまでもありません。ここまで度々刀を扱うことに関して、武士道を例に出してあげてきましたが、それは刀というものが切っても切り離せない関係にあるからです。これから居合道をやろうとしている人は、居合道そのものを実践して理解することに努めるのではなく、それを生むきっかけとなった武士道や、そもそも戦国時代にどのように武士が台頭してきたのかという歴史的な観点を見ておくと、居合道の本質に極めて近い考え方や理念も理解しやすくなるのではないかと考えられるはずです。