沸かしの良し悪しで、日本刀の出来を左右するそうです。玉鋼は沸かしから鍛錬を経て精錬されていくということで、沸かしというのは、折返し鍛錬の準備段階というべき工程といえるそうです。積み沸かしが終わると鍛錬に入っていくそうです。
折返し鍛錬の目的というのは、素材を鍛えることによって鋼中に含まれている不純物を除去することだそうです。また、炭素の含有量を調整することも目的だそうです。鍛錬の方法として、十分に沸かされた素材を平たく打ち延ばし、さらに折り返し2枚に重ねて打ち延ばすということをするそうです。鏨(切れ目)を横に入れて折返し、打ち延ばした後、次に縦に鏨を入れて折り返す方法を十文字鍛えというそうです。横に鏨を入れて打ち延ばした後に、同じように横に鏨を入れて同じ方向へ折り返す方法もあるそうです。これを一文字鍛えというそうです。どちらの方法で鍛えるかというのは、刀匠によるそうです。折返し作業というのは、12回〜15回程度行います。特にこの工程の前半を下鍛え、後半を上鍛えといいます。折返し鍛錬を15回繰り返すことで、215=32,768層の積層材になるそうです。
層間は1000分の1mm以下になるそうです。層間が密着するのは、鍛錬によって不純物が火花になって飛散するからだそうです。刀匠さんが叩いて火花が散っているのはキレイですが、あれが不純物なのですね。層間の境界面が極めてクリーンになるそうなので、原子同士が結びついていると考えられるそうです。大昔からの工程が科学的に説明できるというのは面白いです。この折返し鍛錬というのは、メカニカルアロイングという現代の最先端の技術の一種だとみることもできるそうです。