折返し鍛錬というのは、各流派の掟や刀匠によって異なるそうです。掟があるというのはそれだけでも神秘的に感じますね。折り返し鍛錬は、刃鉄(はがね)および皮鉄(かわがね)に用いられる含有炭素の高い素材では12回〜15回ほど行われるそうです。
低炭素の柔らかい心鉄(しんがね)および棟鉄(むねがね)というものでは、5回〜6回行われるそうです。玉鋼素材の炭素量は、折返し鍛錬によって減少していくそうです。刃鉄と皮鉄の炭素量は、15回ほど鍛錬すると、0.6%程度になっていくそうです。この前後の含有炭素量が、焼入れによって高い硬さとある程度の靭性を得られる最適な炭素量といわれているそうです。折り返し鍛錬をされた皮鉄の積層ですが、これは刀身の表面に種々の地肌文様として現れるそうです。この地肌文様というのは、地金、鍛え肌とも呼ばれているそうです。この鍛え肌の美しさも、刃文の美しさとともに刀剣美術の重要な鑑賞要素になっているそうです。刀剣博物館に展示してある刀は一流のものばかりでしょうから、これらの文様も美しいような気がします。備前伝、大和伝、相州伝など、各流派や刀匠によっても、この地肌文様というのは違いが出てくるそうです。柾目肌、梨子地肌、板目肌、綾杉肌などがあるそうです。聞いたことのない言葉ばかりですが、普通にワードで変換できるということは、これは一般的にも使われているのかもしれません。ただこの地肌文様は、博物館のガラス越しではなかなか分かりづらかったりするそうです。美しい文様が見たければ、手にとって光にかざすということが必要なようです。一般人では刀剣所持の許可がないとなかなか出来ないことだと思いますね。